産婦人科医に聞く vol.1:不妊治療の注射と貼り薬、効果は違うんですか?

本記事は、広島赤十字・原爆病院 緩和ケア科 吉川徹医師(日本産科婦人科学会専門医)による院内勉強会の内容を要約してお届けします。本シリーズは全9回にわたり、産婦人科領域の疑問について医師に直接お聞きした内容を記録しています。

不妊治療の注射と貼り薬、効果は違うんですか?

結論:貼り薬と注射は「目的」が異なる

不妊治療で使われる貼り薬(エストラーナテープ)注射薬は、効果の違いというよりも、それぞれ役割が異なります。貼り薬に含まれるのは卵巣由来のホルモン「エストロゲン」で、子宮内膜を厚くし、着床に適した環境(赤ちゃんのベッド)を整える働きがあります。

注射薬の役割:卵胞を複数育てる

一方、注射薬にはFSH(卵胞刺激ホルモン)LH(黄体形成ホルモン)が含まれています。通常、脳からのホルモン指令では1周期に1個しか卵子が育ちませんが、注射で外からホルモンを大量に投与することで複数の卵胞を同時に育てることが可能になります。体外受精では複数の卵子を採取する必要があるため、注射薬が不可欠です。

ホルモンは体内の情報伝達物質

ホルモンとは血液を通じて全身を巡る情報伝達物質です。卵巣に届くと「卵胞を育てなさい」という信号となり、卵子の成長を促進します。注射で十分にホルモンを補充すると、通常よりも多くの卵子が育つ仕組みです。

貼り薬の使用場面は限定的

採卵時には注射薬の作用でエストロゲンも自然に分泌されるため、貼り薬を使う場面は多くありません。ただし、若くても卵巣機能が低下している方など、エストロゲンが十分でない場合には補助的に使用されることがあります。

勉強会の様子

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※本内容は医師による院内勉強会の内容を要約したものであり、医療的な診断・治療の代替を目的としたものではありません。症状にお悩みの方は、まず医療機関の受診をおすすめいたします。